2023年6月27日、JFEホールディングス株式会社の株主総会に出席した。
- JFEホールディングス株購入のタイミング
- 会場は東京・帝国ホテル
- お土産はない
- 異様なスタッフ数の割にフレンドリーな雰囲気ではない
- グループ全体の売上規模5兆円超の超巨大企業
- 驚愕の株主提案
- 代表的な質疑応答
- まとめ
JFEホールディングス株購入のタイミング
JFEホールディングスの株式は、シリコンバレー銀行(SVB)破綻関連で相場が一時的に冷え込んでいた2023年3月15日に1,700円/1株で100株購入していた。
その後、国内株式相場は急回復し、現在は2,000円/1株程度で推移している。3月末権利も取れたわけだし、結果として買いのタイミングとしては良かったと判断している。
会場は東京・帝国ホテル
あらためてJFEホールディングス株式会社の株主総会の話に移ろう。
会場は東京都千代田区の帝国ホテル。いわゆる「都内高級ホテル御三家」の一つで、非常に高級感のある会場だ。帝国ホテルは施設老朽化や外資系ホテルへの対抗のため、2024年から2036年にかけて建替を計画している。昭和の社交場の雰囲気を色濃く残す、古き良き建物を楽しめるのもあとわずかだ。
お土産はない
お土産は一切ない。配布物は事業報告パンフレットのみである。水も出さないことにクレームを入れている株主もいた。
異様なスタッフ数の割にフレンドリーな雰囲気ではない
帝国ホテルで最も広い宴会場である「孔雀の間」に参加していた株主の数は500名ほどだろうか。それに対して動員されている会社側のスタッフの数は相当なものだ。
本会場に入る前の受付横では、JFEグループの様々な取り組みについて展示スペースにきちんとした説明用パネルを設置して説明していた。せっかくなので写真を撮ろうと思ったのだが、本会場のみならずこちらも撮影禁止。
・・・なんだろう。あまりフレンドリーな雰囲気ではない。どこか警戒されているような感じだ。この予感はこの後の株主総会でなんとなくわかることになる。
グループ全体の売上規模5兆円超の超巨大企業
JFEホールディングスは「JFEスチール」「JFEエンジニアリング」「JFE商事」の3社を完全子会社として傘下におき、ホールディングス全体の売上規模は5兆円を超える超巨大グループである。そのため、壇上の経営陣の数もかなり多かった。株主総会の議事進行は定款に従い、社長が進めていく。
動画で準備された事業報告の後、社長自ら対処すべき課題について説明してゆくが、他の企業と比較すると、お世辞にも分かりやすいとは言えなかった。ホールディングスとして総合的な説明にならざるを得ないのは仕方ないが、全体的に抽象的な説明が多く、意気込みだけで実際の取り組み内容はよく分からなかった。パワーポイントのデザインも90年代のテイストが抜けきらない。使いまわし感が出てしまっている。
驚愕の株主提案
昨今、株主提案が流行りである。
「モノ言う株主」がガバナンスを正すものであったり、会社をより良くするものであればそれは価値のあることだ。しかし、今回JFEホールディングス株式会社の株主総会で出てきた株主提案は「期末配当金を取りやめるべき」という驚愕の内容であった。
もう呆れてコメントする気にもならないが、中学校公民の授業からもう一度やり直して、株式会社の仕組みを勉強してきてほしい。
実際にこの提案をしたのは、JFEグループの元従業員とのことであった。経営側にモノ申したいのは分かるのだが、株主という立場を理解してほしい。雰囲気的には大多数の株主が賛成していなかったのではないか。当たり前だ。
「無為徒食の株主」という表現も良くない。株主は働きもせず配当だけ受け取っている極悪人のようなイメージで語られていたが、そろそろ、サラリーマンとして働くことだけを絶対的に美化するのはやめにしないか。投資家はリスクをとって出資し、株主総会に出席するという点で義務を果たしており、何もしていないわけではないのだ。
この株主提案。「配当を増やせ」という本質的な議論をしたくないから、わざと仕込んでいるのでは?とちょっと疑ってしまう。いずれにしてもこれだけで相当うんざりしてしまった。会場の雰囲気も良くない。
代表的な質疑応答
- 現状の株価をどう見ているのか、PBR1倍割れの対策をどのように考えているか
- 脱炭素の取り組みについて本当にできるのか
- 川崎市池上地区の不法滞在者についてどのような対策をしているのか。固定資産税を払っているのか。そのようなお金があるなら株主に分配すべき。
- 姫路地区の臭気問題について、何も対策していないのではないか。
最初の2つはまあマトモな内容だと思うが、後半2つは難しい質問だったと思う。
川崎市池上地区は戦後の混乱期に在日朝鮮人が居住を開始し、現在では不法占拠状態となっている。このような問題の対応はイチ企業だけで解決できるようなものではない。国や自治体と連携して取り組む課題であり、明確な回答は出せないものである。
姫路地区の臭気対策については質問後に相当ヤジが飛んでいて、「不規則発言はお控えください。」「ご静粛に!」と荒れ気味に。少し強引に採決をとって、散会となった。
なるほど。大量のスタッフ動員とフレンドリーな雰囲気ではないのは、こうなることが分かっていたからか。これまで、比較的良い雰囲気の株主総会に出席できていたのだが、このような株主総会もあるということで、ある意味勉強になった。
まとめ
川崎製鉄、日本鋼管の時代から続く同社の長い歴史。日本の鉄鋼業そのものともいえる同社には、多くの対処すべき課題があるのだろう。
株主総会全体を通して感じた現在の大きな課題は3点。脱炭素への取り組み、新技術の開発、若手従業員の確保だ。
3点目は少し意外だが、若手従業員の離職率が高いことに危機感を持っているとのこと。下記のような”柔らかい”CMはあえて若年層へのアピールを意識しているそうだ。
日本全体で労働力人口が減少する中、JFEのような超大企業であっても優秀な人材の確保には苦労しているのだ。
JFEホールディングスでは株主向け工場見学の企画も再開されたようなので、ぜひ現場に赴いて事業のダイナミックさを感じてみたい。現地・現物を見ればまた企業の印象も変わることだろう。