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初めての投資では銀行で投資信託を購入し、びっくりするほど大損。FIREなんて大きな目標はない。もう1円も損したくないのだ。

業績不振のDICの株主総会に出席。モノ言う株主の登場で、総会は荒れたのか?

 

 

業績不振のDIC

DIC株式会社が2023年8月9日に発表した通期の業績予想では、最終利益の見通しが170億円から40億円(前期比77.3%減)に下方修正された。

また、年間配当予想も100円から80円(同20円減配)となった。これを受けて株価は下落。私の保有株もこの時点で残念ながら含み損となっていた。

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モノ言う株主の大量保有で思惑買いが発生

その後、2023年12月28日には香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」がDICの株式の6.9%を保有していることが判明。

物言う株主として知られる投資家の経営関与や、株主価値の向上を見込んだ買いが入り、株価は急上昇。私の保有株はなんとか含み損を脱出した。

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2023年12月期連結決算は大赤字

年が変わって2024年2月13日、DIC株式会社が発表した2023年12月期連結決算は、
最終損益が398億円の大赤字となった。昨年発表の業績予想よりも大幅に悪化している。

業績悪化を受け、同社は23年12月期の役員賞与について、社長と副社長は全額不支給、その他の執行役員は減額とする対応をとった。

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怒りに震える株主。モノ言う株主の登場で、総会は荒れたか?

この悪い流れの中、2024年3月28日、DIC株式会社の株主総会に出席した。

業績不振の状況について経営陣の姿勢を確認すると同時に、モノ言う株主の動きを知りたかったのだ。

 

 

 

淡々と進む議事。問題は質疑応答だ!

会社からの業績報告の中、議長を務める猪野会長が減配となったことを詫びるが、形式的なお詫びなどどうでも良い。今後の取り組みが重要だ。

業績報告や対処すべき課題に関する説明の後、いよいよ質疑応答の時間に移る。

 

 


和やかな雰囲気で始まった質疑応答

出席していた株主数は100名ほどだろうか。和やかな雰囲気で質疑応答が始まる。

 

「DICのファンです。事業戦略についてもう少し詳しく教えてください。」

「昨今、世間で話題になっているサプリの安全性は大丈夫ですか?」

 

ああ、こんな感じでシャンシャンと終わってしまうのか・・・

モヤモヤしながら聞いていると、最前列でビシッと挙手するスーツ姿の質問者が。以降、総会の雰囲気は一気に緊張感が増すことになる。

 

 

 

「オアシス・マネジメント」か分からないが、鋭い質問がバンバン飛ぶ!

指名されるとマイクスタンドへ。

ルールとしては1人2問までだが、開口一番、こんなやりとりがなされた。

 

質問者:当社から事前にWEB経由で質問状を出しています。ご覧になっていますか?

議長:はい。

 

質問者:質問は5問あります。また、回答者はこちらから指名させていただきます。

議長:他の株主様もいらっしゃいます。2問ずつで区切ってください。

 

質問者:分かりました。

 

まず、当社と名乗っている時点で個人株主ではない。

事前に質問状を出し、会社側に把握されている。そして、質問者側から回答者を指名する。

・・・この人、プロだ。

 

 


業績不振や運営に対する厳しい質問

  • 最終赤字、減配となったことについての経営責任をどのように考えているのか。
  • 各種KPIを見てもこの数年、業績悪化が続いているにもかかわらず、社長は会長に昇進し、1億円を超える多額の報酬を受け取っている。役員報酬は妥当だと考えているのか。
  • 会長の指名プロセスは正常に機能しているのか。指名委員会は単に執行部の要求を追認しているだけではないか。
  • 我々からの要請に対して、きちんとした情報開示がなされていない。
  • PBR1倍割れの対応について、具体的な取り組みの説明を求める。
  • 新任取締役候補者をひな壇に座らせているが、他の企業では候補者は正式に選任されるまで別な位置に座らせているところもある。ひな壇に座るのであれば、一人一人、本人から決意表明を聞きたい。(別の株主からも拍手が上がる。)

 

 

 

私の感想

ひな壇に関する質問一つとっても、経営側は少し緊張感に欠けていると思った。株主が承認してもいないのに役員席に座っているようなものだ。

 

株主総会開始直後、会長が「令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。」と発言した際にも、全員一礼するところで、頭を下げていない役員がいた。

 

質疑応答では議長が質問の内容に応じて担当役員を指名するが、担当役員が回答に入る前に「議長の指名により回答させていただきます」を省略する役員もいた。株主総会では議長の指名が無ければ発言は許されないのだ。

 

こういう細かな所作は結構重要だと思っている。一事が万事。

質問回答についても、経営側にどこか「面倒くさいな」という雰囲気が感じられてしまったし、内容も逃げ腰と感じた。

 

・・・DIC、大丈夫だろうか。

 

 

 

まとめ

業績好調の株主総会はある意味「シャンシャン総会」で面白くない。

 

むしろ今回のDIC株式会社のように、業績不振の状況になって初めて、「株主が経営をチェックする」という株主総会の本来の姿が現れる。そしてピンチに立ち向かう経営陣の姿勢も浮き彫りになる。

 

その点、今回の株主総会の内容は、今後に不安が残ってしまったと言わざるを得ない。長期経営計画をもとに株主還元の充実をアピールしていたが、本業の改善なくして株主還元はない。同社自慢の美術館だって、本業が儲かっていることが大前提だ。

 

株主総会を終えて、2024年3月28日の同社の株価は2.2%の下落となった。株主の不安を払拭する内容ではなかったと感じたのは私だけではなかったということだろうか。

 

長期経営計画「DIC Vision 2030」の見直しでは、1株当たり年間配当額の下限を 100 円に設定すると宣言した。まずはこの内容がきちんと有言実行となるよう期待したい。