- 株主総会に出席したい
- 会場は板橋区立文化会館
- なんだか物々しい雰囲気
- 法律上、株主は会社で一番偉い
- 「おみやげはない」ことを強調する必要はあるのか?
- 事業報告は丁寧でスムーズ
- 質疑応答
- 株式総会に出席する意味
株主総会に出席したい
2021年11月19日、株式会社ビックカメラの定時株主総会に出席した。
株式投資を始めたきっかけの一つとして「株主総会に出席してみたい」という思いがあったのだが、新型コロナウィルスの感染拡大もあってこれまで一度も出席できていなかった。今回、コロナの感染状況も落ち着いてきたため、初めて株主総会に出席できた次第である。
会場は板橋区立文化会館
会場は板橋区の板橋区立文化会館である。なぜここなのか?というくらい不便な場所だが、あえて足を運んでみた。
株主総会の開始は10時からだが、9時半前に到着してしまったので、早めに会場に入ってみることにした。30分以上前に来る人はほとんどおらず、ほぼスタッフばかりだ。
板橋区立文化会館に入るとたくさんのスタッフが待機しており、「おはようございます!」とものすごく丁寧な対応だ。
受付に書類を提示し、会場ホールに移動。キャパはとても広い会場だが、新型コロナウィルス対策のために着席できる座席は大幅に制限され、ゆったりとした座席配置だ。
なんだか物々しい雰囲気
株主総会には初めて出席したが、フレンドリーな雰囲気ではないと感じた。多くの会場スタッフがかなり丁寧な対応を行っている。
ビックカメラの実店舗に客として訪れてもここまで丁寧な対応は受けないだろう(笑)
法律上、株主は会社で一番偉い
それもそのはずで法律上、株主は株式会社で一番偉い。
私は一応、大学の法学部を卒業しており、会社法の単位も取得した。大学では様々な授業を受けたが、個人的には会社法の授業はとても興味深く聴講した記憶がある。会社法を勉強すると、株主総会がどれだけ重要なものなのか理解できる。普段偉そうにしている代表取締役、取締役、執行役員だって株主に選ばれているだけの存在だ。
だから、少なくともこの株主総会の会場では「株主」というだけで所有している株式数に関係なく最上級の接遇を受けることになる。出席している個人株主の気分次第で株主総会の結論が変わることは無いが、社長以下、経営陣がそろった会議なので無用なトラブルは避けたいのだろう。
あまりに丁寧過ぎて自分が偉くなったと勘違いしてしまいそうだ。危ない危ない。
「おみやげはない」ことを強調する必要はあるのか?
招集通知には「おみやげ(クーポン券、 カレンダー、飲料等を含む)の配布は一切ございません。」との記載が目立ったが、私は少し残念である。
法律上、株主総会は株主にお土産を配ったり過度に配慮して気持ちよくなってもらうイベントではない。
株主総会とは、会社の実質的所有者である株主が「議決権の行使」という形で、自らの権利を行使する場である。
他の企業ではバブル期には豪華なお菓子を配ったりしていたこともあったようだが、このような行為はマネーリテラシーの低い者を勘違いさせる上に、株主総会の位置づけを誤解させる恐れがあると感じる。個人的にはお土産目的で出席する株主に対して過度に配慮する必要はないと思う。
事業報告は丁寧でスムーズ
議事進行は社長が行う。これは会社の定款に定められているからだ。
といっても細かな事業報告はすべて招集通知に記載されている。ビックカメラの場合、それらを丁寧に動画にまとめていた。この動画もプロのナレーターを入れたもので、かなりレベルの高いものだ。
株主総会で提供される資料や動画はその会社の最上級の労力がかけられていると思ってよい。万が一不手際が発生して議事進行が滞ることがあれば、企業経営に直接影響してしまうからだ。
ちなみに、2021年度は中間、期末合わせて1株当たり15円の配当となった。これとは別に商品券もゲットできるからお得な銘柄と評価している。
質疑応答
社長からの事業報告が終わると株主からの質疑応答の時間となる。
私は質問しなかったが、他の株主からは様々な質問が出ていた。質問に対して経営陣が答えられないことなどあってはならないから、質問が個別の事業に該当する場合、担当役員がすぐに答えられるような体制になっている。
どんな内容の質問であれ、株主から質問された内容に経営陣は真摯に耳を傾け、誠意をもって回答していた。これが株主総会というものだ。
私は仕事の都合上、質疑応答の途中で退席せざるを得なかったのだが、できれば最後まで聞きたかった。
株式総会に出席する意味
株主総会の会場を一歩出ればサラリーマンの世界に逆戻りだ。
さて、ビックカメラのような東証一部上場の大企業の株主総会に、私のような本業がサラリーマンの超零細株主が出席する意味はあるのだろうか。
企業経営に影響を与えるかという観点では「全く意味はない」と断言できる。
しかし、違った観点での成果を強調しておきたい。
日本の多くの労働者は”株式会社”という組織の構成員として賃金を得ている。いわゆるサラリーマンだ。
サラリーマンは誰のために働いているのか。
「家族のため」「お客様のため」「上司のため」など、哲学的にはいろいろな考えがあるだろう。
しかし、法律的には株式会社の全ての従業員は、会社の実質的な所有者である株主のために働いているのだ。
普段偉そうにしている管理職連中でも法律上、株主には頭を下げざるを得ない。株主総会という法律上のイベントの間だけでも、資本主義経済における「株式会社」という存在のあり方を改めて確認することができる。
サラリーマンとして会社に戻れば上司の理不尽な指示にうんざりすることがあるかもしれない。しかし、立場によっては上司など人生の絶対的な上位の存在ではないことは、株主総会に出席してみればよーくわかる。
仮に会社を辞めて大株主になってしまえば立場は大逆転。お金さえあれば理論上すぐに起こりうる変化である。
実際にはそこまでの大量の資金がないからサラリーマンとして働いているわけだが、株式会社という仕組みを改めて理解する意味では良い経験になることは間違いない。
ぜひ、若い方にも一度は株主総会に出席してみてもらいたいと思う。
ちょっとした発想の転換につながることもあると思う。