はじめに
年末調整の時期になった。
サラリーマンで各種控除が必要な方はそれぞれ必要な書類を揃えて、勤務先の担当部門に提出しているだろう。よくあるのが「各種保険料控除」「住宅ローン控除」だ。
これに加えて、iDeCo加入者は追加の手続きが必要となる。と言っても、実際はメチャクチャ簡単だ。
iDeCo加入者も、まだやっていない人も、あらためて確認してみよう!
iDeCo加入者の年末調整のやり方
「小規模企業共済等掛金控除の証明書」の送付連絡が来る
私の場合、楽天証券でiDeCoに加入しているのだが、毎年10月くらいに以下のメールが届く。
これは年末調整に必要な「小規模企業共済等掛金払込証明書」が発送されますよ。という連絡だ。
これは極めて重要なメールである。
証明書は実際はハガキで到着するが、このメールが届いたら、いつ頃自宅に到着するかを考えておいて、絶対に紛失しないようにしよう。
「小規模企業共済等掛金控除の証明書」が自宅に届く
しばらくすると、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金控除の証明書」が届く。証明書と言っても実際はハガキだ。
このハガキは年末調整で使うことになるから、保険料控除に使う書類などと一緒に大切に保管しておこう。
「小規模企業共済等掛金控除」の欄に年間拠出予定額を入力
しばらくすると年末調整の受付が始まる。
勤務先によって年末調整の方法は異なると思うが、
「小規模企業共済等掛金控除」という項目がiDeCoの項目だ。
この項目に年間拠出額を入力することで、iDeCoとして拠出した金額が全額所得控除となる。課税所得が減ることで、当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減される仕組みだ。
iDeCoを始めた頃には制度を理解した方でも、しばらく時間が経って、どのような制度だったか忘れてしまうことがあるかもしれない。この段階で改めて思い出してみるのも良いと思う。
「小規模企業共済等掛金控除の証明書」を担当部門へ送付
無事入力ができたら、最後はこの証明書を年末調整を行っている担当部門へ送付する。通常は会社の人事部や総務部門になると思う。保険料控除や住宅ローン控除の関係書類と一緒に送付する形が多いのではないだろうか。
おしまい
以上がiDeCo加入者の年末調整のやり方である。印象としてはかなり簡単ではないだろうか。
手続きのポイント
とにかく「小規模企業共済等掛金控除の証明書」をなくさないこと!
そして「小規模企業共済等掛金控除」欄に年間拠出額をしっかり記入して、証明書を担当部門に送付すること!
これだけだ。事務処理としては極めて簡単な部類に入ると思う。
こんなかんたんな処理を間違える人がいるのか?
処理が簡単過ぎて、正直この記事を書こうか迷っていたが、気になるニュースを見つけた。
やはり、「小規模企業共済等掛金控除の証明書」をそのまま廃棄してしまう人が一定数いるようだ。
iDeCoを始めた当初は制度を理解していても、時間が経って制度の内容を忘れてしまうことで、よくわからない書類として廃棄してしまうのかもしれない。
また、郵送で届くことから、他のダイレクトメールなどと一緒に誤って廃棄してしまうリスクもある。
この手続きを行わないと、iDeCoの重要なメリットの一つである節税の恩恵にあずかることができない。全くもったいない話だ。iDeCo加入者も、まだやっていない人もこの手続きはぜひ覚えておいてもらいたい。
提言:年末調整は廃止し、確定申告を義務付けるべき
日本のサラリーマンは会社が年末調整をやってくれるので、自らがどのくらいの所得を得て、どのくらいの税金を支払っているのか無関心な人が多い。「小規模企業共済等掛金控除の証明書」をそのまま廃棄してしまう、というエピソードもその無関心からくるのではないか。
そもそも、課税にかかる事務処理の一部をなぜ民間企業の人事・総務部門がやっているのか。私は就職したタイミングから違和感を感じていた。
そして、サラリーマンとして働く人たちの金融リテラシーの低さ。仕事ができる上司はそれなりに見てきたが、仕事はできても驚くほど金融リテラシーが低い。iDeCoもふるさと納税もやらずに「宝くじが当たらないな~」と嘆く。この国の行く末が本当に心配になる。
ここまで金融リテラシーが低い一つの理由として、勤務先が年末調整を行ってくれるスキームも悪影響を及ぼしていると思う。いっそのことこのスキームを全廃し、全国民に確定申告を義務付けた方が、国民の金融リテラシー向上につながるのではないか。若干、荒療治になるかもしれないが、金融教育をしっかりと制度化するいいきっかけになるのではないかと思う。