はじめに
通常、株主優待制度は単位株(100株)保有の株主を対象としていることが多い。単位株保有の株主向けの優待制度は企業のIRとして正式に公開されている。
一方、端株(1株)保有であっても株主優待を行っている企業もある。しかしながら、端株(1株)保有の株主向けの優待制度は企業のIRに記載のないことはほとんどだ。
このことから1株優待は「隠れ優待」と呼ばれることもある。実際に投資してみないと結果が分からないのが、この「隠れ優待」だ。
前回の記事をまとめてから6か月。
2023年9月末の権利確定日を経て、実際に隠れ優待をゲットできたのはどの銘柄だったのか。果たしてその内容は!?
実際に投資をして、2023年12月に受け取った封書の中身をすべて公開していく!
隠れ優待をゲットできた銘柄
三菱商事
【取得株価】
¥4,052/1株(2022/2/9)
【直近株価】
¥6,638/1株(2023/12/26)
【配当】
¥84/1株(2023/11/30)※税引後
【隠れ優待】
静嘉堂文庫美術館の招待券
【金額価値】
一般:1,500円×2名分=3,000円
静嘉堂文庫美術館は東京・丸の内という立地が良いだけでなく、建物や展示内容も非常に素晴らしい。この招待券は親しい方向けに、ちょっとしたプレゼントにも最適である。
2024/1/2(火) 〜 2/3(土)の企画展は「ハッピー龍イヤー!」と題し、お正月らしい華やかな絵画や工芸品を楽しむことができる。
三菱重工
【取得株価】
¥3,298/1株(2022/2/9)
【直近株価】
¥7,966/1株(2023/12/26)
【配当】
¥64/1株(2023/12/2)※税引後
【隠れ優待】
三菱みなとみらい技術館の招待券
【金額価値】
一般:500円×3名分(招待券での最大入場人数)=1,500円
続いて三菱重工。
隠れ優待として、三菱みなとみらい技術館の招待券が入っていた。三菱みなとみらい技術館は子供から大人まで幅広い世代で楽しめる博物館である。
また、今回は工場見学の案内も入っていた。読者の方には申し訳ないが、ブログ記事として一般公開するにあたり、申込方法の箇所はマスクさせていただいた。
株価が騰がってしまい、一株とは言え少し高いのが難点となってしまった。
三菱総合研究所
【取得株価】
¥4,057/1株(2022/6/22)
【直近株価】
¥4,550/1株(2023/12/26)
【配当】
¥61/1株(2023/12/19)※税引後
【金額価値】
一般:900円×2名分=1,800円
現在の企画展は「東南アジア ~交易と交流の海~」。季節ごとに展示内容が入れ替わるから何度行っても飽きない。
三菱総合研究所の封筒には、この招待券に加えて直近12月に開催された株主総会招集通知も参考資料として同封されていた。本来、端株の株主には送付されないものだが、こういうところで、格式高い三菱グループはしっかりしているのだ。
凸版印刷
【取得株価】
¥2,220/1株(2022/2/9)
【直近株価】
¥3,982/1株(2023/12/26)
【配当】
¥20/1株(2023/12/1)※税引後
【隠れ優待】
印刷博物館の入館無料券
【金額価値】
一般:400円×5名分(招待券での最大入場人数)=2,000円
凸版印刷からは恒例の印刷博物館の入館無料券を頂くことができた。
この券は1枚で最大5名まで入場可能。太っ腹である。
また、今回はこれまでになかった新たな特典として株主向け動画の案内も入っていた。オンラインによる見学ツアーのようだ。じっくり見てみよう。
丸紅
【取得株価】
¥1,454/1株(2022/3/23)
【直近株価】
¥2,219/1株(2023/12/26)
【配当】
¥34/1株(2023/11/30)※税引後
【隠れ優待】
丸紅ギャラリーの無料招待券
【金額価値】
一般:500円×2名分=1,000円
最後に丸紅。今回も丸紅ギャラリーの無料招待券を頂くことができた。
現在の企画展は「源氏物語 よみがえった女房装束の美」である。歴史好きの方には興味深い展示内容だと思う。こちらのギャラリーは常設展がない代わりに、季節ごとに様々な展示が行われるのが良い。
トピックス:丸紅ギャラリーの招待券、有効期限撤廃!
従来までは丸紅ギャラリーの招待券には半年間の有効期限があった。今回、これを撤廃し、無期限にするそうだ。
今般、より多くの株主様にギャラリーにご来館いただきたいとの思いから、招待券に記載の有効期限を撤廃いたします。有効期限を超過しているチケットをお持ちいただいた場合でもご入館いただけますので、チケットをお持ちの方は足をお運びいただけますと幸甚でございます。
最近、あらゆる分野で改悪が続く中、素晴らしい改善です!
ファンになっちゃうな。単位株買おうかな~
隠れ優待をゲットできなかった銘柄
日本郵船
【取得株価】
¥3,421/1株(2023/3/15)
【直近株価】
¥4,360/1株(2023/12/26)
【配当】
¥48/1株(2023/11/30)※税引後
6月のタイミングで何もなかったので期待はしていなかったのだが、やはり1株保有では何もない。直近で株価が騰がっているので売ってしまおうかと考え中。
KDDI
【取得株価】
¥4,303/1株(2023/7/28)
【直近株価】
¥4,439/1株(2023/12/26)
【配当】
¥70/1株(2023/12/5)※NISA口座保有のため非課税
ネット上の情報でau PAYで使えるクーポンが入手できそうだったため保有してみたが、何ももらえなかった。やってしまった。。。
幸い、現時点では若干のプラスとなっているし、しっかりと配当ももらえたのでしばらく保有して、どこかのタイミングで売却しようと思う。
まとめ
結果として、7社のうち5社から隠れ優待を頂くことができた。このレポートも今回で4回目となり、前回実績から概ね予想することができるようにはなっているが、1株優待は非公式の内容であるから、やはり封筒開封の瞬間はドキドキするものである。皆さまの投資先選択の一助になれば幸いである。
全体を振り返ってみると、隠れ優待の内容は自社の博物館や美術館の無料入場券であり、これは広報的な要素も多分に含まれていると思う。とはいえ、普通に入場しようとすれば有料の施設であるし、自らの見識を広げる上でも非常に有意義ではないだろうか。
博物館や美術館の良いところは幅広い世代で楽しめること。どのチケットも最低2名は無料で入場できることから、夫婦・恋人・友人・両親など、誰を誘っても喜ばれると思う。
新型コロナウィルスの感染状況が落ち着いてきた今、隠れ優待で博物館・美術館チケットをゲットして、ちょっと優雅な休日を過ごしてみてはいかがだろうか。
最後にあらためて記載しておくが、隠れ優待は企業のIRに記載のない、非公式の特典である。
従って、いつ廃止されてもおかしくないし、この記事は今回ご紹介した優待が今後も入手できることを保証するものではない。これらの点をご理解いただき、投資は自己責任で行っていただきたく、どうぞよろしくお願いします。