1円も損したくないドケチサラリーマンの投資ブログ

初めての投資では銀行で投資信託を購入し、びっくりするほど大損。FIREなんて大きな目標はない。もう1円も損したくないのだ。

株取引ゲームはなぜつまらなかったのか

 

はじめに

今から20年前。私が大学生の頃の話だ。

大学の掲示板に、ある証券会社主催の株取引ゲーム企画が貼りだされていた。証券会社のサイトでゲーム参加用の専用アカウントを登録すると、ゲーム上でのみ有効な仮想上の100万円が付与される。

そして、この100万円をもとに一定期間の間、様々な銘柄に投資して運用成果を競う。ゲーム期間終了時に100万円をどれだけ増やすことができたかをランキング発表し、上位入賞者に賞品が付与されるという内容であった。


当時、20歳くらいだった私も参加してみることにした。

先に結論から書いておくと、全く面白くなかったし、実は最終成果すら確認していない。ゲーム上では日本航空の株を買った記憶はあるのだが、参加しただけで興味を失ってしまった。

金融教育という観点で見ても、有用な知識は全く得られなかったと言って良い。それどころかこの若者(馬鹿者)はこの7年後、銀行でよく分からない仕組債を買って大損することになるのだ。今回はこの「株取引ゲーム」がなぜつまらなかったのかを考えてみたい。

 


基本的な金融教育が無い

あなたがまだ学生で、ある日ポンと100万円渡されて「株取引をやってみろ」と言われて何ができるだろうか。

FPのような専門家の助言や、事前に読むべき書籍の案内も全くない状態だ。証券会社の営業の言いなりか、ネット証券であればCMで知っている企業の株を購入するくらいしかできないだろう。

そんなことをするくらいなら、まずはしっかり勉強すべきだし、勉強したくないなら何もしないほうが数倍マシだ。

個別株だけが投資ではない。それすらもわからない状態。基本的な金融知識無しでこのようなゲームに参加するのはいささかハードルが高すぎた。

 


身銭を切っていないから投げやりな気持ちで参加してしまう

仮想上の資金であることの良さは、ゲーム上で損失を被っても実生活に影響しないこと。しかし、身銭を切らないことで、当時の私は本気度が下がってしまった。

「どうせ損しても良いなら適当で良い」という気持ちがどこかで出てしまったし、自ら関連書籍を読むといった努力もしなかった。賭けない麻雀がつまらないのと感覚は近いのかもしれない。

 


短期間での成果を追い求めるというゲームの性格そのものに疑問

投資の本来の目的は中長期の資産形成を目指すものであり、1か月とか半年程度で元手の100万円を200万円や1,000万円にすることではない。(普通出来ない)

しかし、単なるゲームとして参加するのであれば、値動きの激しい新興銘柄に100万円を全部賭けるようなやり方で、たまたま当たれば成果が出るかもしれない。

・・・ゲーム上でそれに成功したところで何の意味があるだろうか。

 


投資行動に対する専門家のフィードバックがない

これは1番目の金融教育が無かったことの続きでもある。仮想上とは言え、実際に100万円を一定期間動かして結果が出る。利益が出る場合もあれば損失が出る場合もあるだろう。

金融教育として実施するのであれば、結果に対する専門家のフィードバックが必要だ。ランキング上位者を表彰するのは良いが、果たして投資行動としてリスクテイクは適切だったのか。損失を出してしまった参加者はなぜ、損失を出してしまったのか。これをフィードバックする仕組みが何もなかった。

私の場合、仮想上の日本航空の株を買ったままゲームからはフェードアウト。これならやらないほうがマシだった。

日本航空JAL)は8年後の2010年に上場廃止されて、株式が紙くずになってしまったね。ゲームで良かったね。

本当にゲームで良かった。株式投資にはリスクはつきもの。恐ろしい・・・

 


おわりに

このゲームの目的は何だったのだろう。

大学の掲示板に貼りだされていた企画の割に、金融教育として実施されたことではないことは明らかだ。ゲームによって(たまたま)好成績をマークした学生は、気をよくして証券会社の口座を作るのかもしれない。おそらくそれが目的だったのかと思う。

 

しかし、実際に証券口座を作ったならばもうゲームではない。そこで、ゲームと同じように適当な投資行動をとったらどうなるだろう。いずれ大きな損失を被る気がしてならない。

 

最近「金融教育」が注目されている。

気になっているのは、高等学校の授業で試験的にこのような投資ゲームが行われていることがあるということ。私が報道で見たのは投資先企業も架空のものであったが。教師とともに「SDGsにしっかり取り組む企業に投資」といった寝ぼけた議論になっているのも違和感。


若者にゲーム感覚で興味を持ってもらうのは良いが、きちんとした教育になっているのだろうか。講師側の知識レベルにも差があるから、優れた書籍を数冊読ませたほうが有用な気もする。いずれにしても本質をしっかり押さえてほしいと思う。