- はじめに
- 作業のきっかけ
- 対象機のスペック
- OS起動までの時間を計測
- 筐体を開けて内部を確認
- 作業計画
- Windows10の初期化
- トラブル① 初期化が終わらない!
- SSD及びケーブルを手配
- クローニング作業実施
- SSD換装
- トラブル② ネジが足りない
- 起動確認、OS起動までの時間は?
- ディスプレイを新規調達
- ついでにメモリ増設
- トラブル③ 正常起動しない
- BIOS設定変更
- まとめ
はじめに
世界的な資源価格の高騰や、急激に進む円安の影響からか、身の回りの物価が上がっていることを感じるようになった。このような状況の中、自らの生活を守るためには収入を増やすか支出を減らすしかない。
今回はPCに関する支出を減らす節約テクニックとして、古くなったPCを買い替えることなく、少し手を加えることで現役バリバリのパフォーマンスを回復させるテクニックを実践してみたのでご紹介したい。
今回ご紹介するテクニックは誰もが安全に実施できる作業ではない。
PCの知識がある人向けで、ハッキリ申し上げて「素人お断り」だ。作業自体がPCメーカーの保証対象外だし、途中で何らかのトラブルが発生してもGoogle先生以外誰も助けてくれない。
したがって、そんなリスクを負いたくないという方は普通にPCを買い替えることを強くおススメする。どんなトラブルが発生するのかも知っていただくため、今回はあえてトラブルも記載している。
一般の方は、変わった読み物としてさらっと流していただければ幸いだ。
作業のきっかけ
元々は父が「今使っているPCが遅い。何とかしてほしい。」と言い出したのがきっかけ。購入後7年経過していたため、買い替えることを提案し、新品のPCを手配してセットアップした。当たり前ではあるが、父は「PCがとても速くなった!」と喜んでくれた。
作業完了と同時に父からは「古いPCは適当に処分して」と依頼された。今回はその7年前のPCが対象。このマシンに極力少ない資金で手を加えて、現役PCさながらの爆速パフォーマンスを復活させようというお遊び企画だ。
対象機のスペック
対象PCの主要スペックは以下の通り。PCが遅い原因はズバリHDDだ。
◆デスクトップPC
OS | Windows10 Home |
---|---|
CPU | Core i5-6500(3.20GHz-3.60GHz) |
RAM | 8GB(4GB×2) |
HDD | 2TB |
光学ドライブ | スーパーマルチドライブ |
その他 | Office Personal Premium |
OS起動までの時間を計測
HDDはその構造上、データ読み出し速度に限界がある。
しかも、WindowsPCは長く運用すればするほどゴミデータの発生やデータの断片化により遅くなっていくのだ。
まずは現状把握ということで、スイッチONからOS起動完了するまでの時間を計測してみた。
HDD:3分42秒
確かに遅い。スイッチONからPCが利用できるようになるまでにカップラーメンが完成してしまう。いや、少し伸びてしまう(笑)
時間がかかるとはいえ、OSが正常起動することは確認できた。
筐体を開けて内部を確認
次に筐体を開けて内部を確認する。確認ポイントは2点。
- HDDの規格確認
- 物理的にHDDが交換可能な構造になっているか
1)についてはSATA(Serial ATA)であることを確認。
2)についても通常の工具(ドライバー)で比較的簡易に交換できそうだ。
ついでにメモリスロットが4つあること。そして、4GB×2枚が利用済みで空きスロットが2つあることも確認。
長年の運用で溜まったホコリを掃除機で丁寧に掃除する。掃除が終わったら一旦筐体の蓋は元に戻しておく。
作業計画
現状把握が出来たら作業計画を立てる。
着手する前に計画を立てて、手順に抜け漏れがないか確認する。また、途中の各工程で予期せぬトラブルが発生した場合、損失が最小限となるよう、部材調達のタイミングには十分に留意する。
- HDDからOSを起動して、リカバリ(PC初期出荷状態)にする
- 新規でSATA規格のSSD及び、SATA-USB変換ケーブルを手配
- SSDをSATA-USB変換ケーブルでPCに接続
- クローニングツールを利用し、HDDの内容をSSDにクローニングする
- HDDをPCから取り外し、クローニングしたSSDに換装する
- SSDから起動することを確認する
- ここまでの作業が完了してからディスプレイを新調
- 安価なメモリを調達して増設する
- 最終起動確認
Windows10の初期化
長年運用されてきたHDD内には大量のユーザデータが存在している。これをそのままSSDにクローニングすると、時間がかかるだけでなくゴミデータもクローニングされてしまう。そこで、クローニング前にシステム自体をきれいにしておこうというわけだ。
初期化はWindows10の機能を利用して行う。
- 画面左下Windowsマークの上で右クリックを押下して「設定」を選択
- 「更新とセキュリティ」をクリック
- 「回復」をクリック
- 「このPCを初期状態に戻す」の「開始する」をクリック
- オプション選択画面で「個人用ファイルを保持する」または「すべてを削除する」を選ぶと実行される。
トラブル① 初期化が終わらない!
初期化にはかなり時間がかかり、作業途中でフリーズしてしまった。
「このPCを初期状態に戻しています」の画面のまま動かなくなったので、強制的に電源OFFして再起動したところ、次工程に進んでいった。
強制電源OFFは最悪PCが起動しなくなるリスクがある作業であり、あまりやりたくなかったが、やむなく実施した。
何が起ころうとも完全自己責任の危険な作業である。
SSD及びケーブルを手配
いよいよPC高速化に必要な部材の調達に入る。
今回の作業はに必要な部材はSATA規格のSSD及び、SATA-USB変換ケーブルだ。Amazonで以下の商品を新規手配。
SSDはピンキリでもっと安価なものもあるが、ノーブランド品は品質面が心配だ。今回はメジャーどころかつ、クローニングツールの無償提供のあるCrucial製SSDを購入した。1TBのSSDが約1万円というのはちょっと昔から考えればメチャクチャお買い得だ。
変換ケーブルもいろいろな種類がある。
Amazonのレビューを見ても不安になるばかりだが、高過ぎず安過ぎない商品をセレクト。結果的に問題なく使うことができた。
クローニング作業実施
今回はCrucial製SSDを購入したため、「Acronis True Image for Crucial」を利用してクローニングを行う。
クローニング元をHDDに、クローニング先をCrucial製SSDに指定する。クローニング元は2TBのHDDでクローニング先は1TBのSSDだが、実データ領域だけをうまいことクローニングしてくれるようだ。賢い!
作業には1時間ほど時間がかかるが、クローニング実行指示後は待つだけで良い。
SSD換装
クローニング作業が完了したらPC筐体の蓋を開け、HDDを取り外す。そして、HDDが格納されていたケースにSSDを取り付ける。
PCのメーカーによっては2.5インチから3.5インチの変換ブラケット/マウンターが必要になることがある。今回の対象マシンはマウンタ無しでネジ止めできる仕様となっていたため、マウンタの手配は行わなかった。
トラブル② ネジが足りない
ここでトラブル発生。今回の対象PCはケースへのHDD固定がネジではなく特殊ゴムにて行われていた。ケースからHDDを取り外すまでは良かったが、新規手配したSSDをケースに固定するネジがない。
通常、SSD等のPCパーツをケースに固定するには「ミリネジ」という規格品が使われる。例えば以下のような商品だ。
SSDをケースに固定するには4本のミリネジが必要だ。
我が家の工具箱を探してみたところ、過去にPCを分解したときの余りが2本だけあった。とりあえずそれを使って仮止めしつつ、ネジの新調を計画する。
しかし、今回の企画はなるべくお金をかけない方針だ。ミリネジごときに数百円もかけたくない。そこで久々に秋葉原に出向き、安いミリネジを探すことにした。
ところが、ネジ専門店も含めて探したが、意外とないものである。
1時間以上は探しただろうか。あきらめかけたタイミングで、インド系外国人が店員の怪しいジャンクショップでついに100円のミリネジを発見した。そうそう、こういうのを探していたんだ。さすがはアキバだ。
交通費考えたらむしろ損してるよね。
アキバ散策は趣味みたいなものだからいいのです(笑)
起動確認、OS起動までの時間は?
さっそく秋葉原で調達したネジを利用し、4本のネジでSSDをケースにしっかり固定。
テスト用ティスプレイに接続してスイッチオン!
さて、起動時間はどのくらい短縮できたのか。
SSD:30秒!
(HDDは3分42秒でした)
7年前のデスクトップPCが爆速化した。これがSSDの実力。古いPCが遅いと感じる最大のボトルネックはHDDなのだ。作業を横で見ていた息子もビックリ!
ディスプレイを新規調達
ここまで確認してからディスプレイを新規調達。
我が家にはノートPCしかなく、デスクトップPCで利用できる外付けディスプレイがなかった。フルHD出力かつ、スピーカーもついて安価なモデルとして、以下の商品を選定した。
ついでにメモリ増設
このPCのメモリスロットは4つあったが、4GB×2枚が利用済みで空きスロットが2つあることを確認していた。
せっかくなので、この空きスロットにメモリ増設を行い、更なる高速化を図ることにした。既存のメモリは活かすこととし、残りの2スロットに4GBを2枚増設することにする。
まずは正確なメモリ規格を調査。このPCのメモリ規格は「PC4-17000 DDR4 SDRAM DIMM」だ。
4GBが2枚必要。新品だとAmazonで1枚あたり2,000円程度となっている。これでも十分安い。
しかし、今回はなるべくお金をかけない企画。7年前のPCに新品のメモリなど贅沢過ぎる。中古で十分だ!
ネット上をくまなく検索し、じゃんぱらで同規格の中古メモリを発見。Samsung製のブランドメモリを1枚980円で調達できた。これはお買い得!
さっそく筐体を開けて増設。BIOS上でしっかりと認識された。
メモリ16GBになって、最近のPCっぽくなってきたね!
トラブル③ 正常起動しない
新規調達したディスプレイも届いて、最終確認しようとしたところで再びトラブル発生。電源を入れても起動しない・・・
原因を探っていくと、HDDからSSDに換装した後のどこかのタイミングでBIOSの起動デバイス設定がおかしくなっていたらしい。
こういうトラブルが発生するから、この作業は万人におススメできないのだ。
BIOS設定変更
ということで、BIOSの起動デバイス設定を再設定。無事、換装したSSDから新ディスプレイに映像信号が出力された。
さらっと書いていますが、原因特定するまでに2時間ほどかかりました・・・
まとめ
一通りの作業完了後、設置用の机を清掃してPC及びディスプレイを設置。まだまだ現役の快適なデスクトップPCが1台爆誕した。
これまでのノートPCより画面が大きくキーボードも打ちやすいため、ブログを書くには最適だ。これまで使っていたノートPCもまだ利用できるため、これは子ども用に譲ることに。
さあ、トータルの投資額はいくらだったのか。
SATA規格のSSD(1TB) | 10,455 |
---|---|
SATA-USB変換ケーブル | 1,299 |
ミリネジ | 100 |
メモリ(4GB×2) | 1,860 |
ディスプレイ | 15,960 |
合計 | 29,774 |
結果として3万円弱で新規PCを立ち上げることができた。新規でPCを購入するよりかは費用が掛からなかったのではないかと思っている。
今回実施した作業はPCに関する知識のある方向けと申し上げた。
自分ではできないけどプロにお任せしたいという人向けには、有償サービスとして提供しているお店がある。当然、作業費用はかかるが、途中トラブルへのリスクヘッジを考慮すれば、2万円弱の作業費用はかなりコスパが良いと感じる。興味を持たれた方はご覧ください。