- 東京五輪開会式の入場曲はドラゴンクエスト「序曲」
- 中学校の卒業式の退場曲は「この道わが旅」
- ドラクエ世代が組織の重要な意思決定をする時代に突入
- マネジメント層の世代交代により、世の中が大きく変わっていく
- ドラクエを知らない世代が台頭するのは意外と早いはず
東京五輪開会式の入場曲はドラゴンクエスト「序曲」
紆余曲折ありながら、2021年7月23日に開会式を迎えた東京五輪。その開会式において、選手入場の最初を飾ったのは、ドラゴンクエスト「序曲」であった。
ネット上には様々な意見が見られるが、日本を代表するゲーム音楽の一つとして、概ね高評価だったのではないか。
中学校の卒業式の退場曲は「この道わが旅」
時は流れて2022年3月。我が子の公立中学校の卒業式に参加した。新型コロナウィルス対策のため、卒業式の規模自体かなり縮小して実施されることとなり「呼びかけ」や「合唱」といった定番コンテンツはすべて中止。校長式辞、卒業証書授与、在校生送辞、卒業生答辞、ほぼこれだけの非常に簡素な内容であった。
印象に残ったのは卒業生退場時のBGMがドラゴンクエストⅡのエンディングテーマ「この道わが旅」だったことだ。
ドラクエ世代が組織の重要な意思決定をする時代に突入
東京五輪と我が子の卒業式。規模は全く異なるが、共通しているのは公共性の高いオフィシャルなイベントであることだ。
東京五輪は日本国を世界にアピールするオフィシャルなスポーツイベント。公立中学校の卒業式は東京五輪とは規模は全く異なるが、地域社会におけるオフィシャルなイベントだ。
これらのような極めて公共性の高いオフィシャルなイベントにおいては、格式や伝統が重視されることから、利用されるBGMについては前例踏襲型の意思決定が基本であると思う。そんな中、日本を代表するゲームタイトルとはいえ、ドラゴンクエストというゲームのBGMが採用されるようになったのはどのような背景があるのだろうか。
完全に私の仮説だが、組織の意思決定者または実質的な組織運営者の立場に、いよいよ我々ドラクエ世代が就任するようになってきたのではないか。
ドラクエ世代というのは幼少の頃、ファミコンゲームのドラゴンクエストシリーズを楽しんだ世代を表していて、諸説あるものの就職氷河期世代と重なる形で「1970年~1980年頃生まれ」と考えることができる。2022年現在だとアラフォー&アラフィフ世代。日本型組織で我慢に我慢を重ねて年功序列式に昇格し、ようやく様々な組織を取り仕切る立場の方が増えてきているのではないか。
マネジメント層の世代交代により、世の中が大きく変わっていく
話はイベントのBGMとしてゲーム音楽を採用することだけにとどまらない。組織運営を行うマネジメント層の世代交代で、世の中の常識が変わっていく。
例えば、以下のような変化を現在進行形で感じている方も多いのではないだろうか。
変化1:働き方に対する考え方が大きく変化
- 急な体調不良以外で有給休暇を取得するなんてもってのほか。
⇒理由を問わず、有給は取得すべき。上司が積極的に休む。 - 連日深夜までの残業は当たり前。
⇒残業は極力しないように考えるのが普通。 - 家事や子育ては妻に任せておけばいい。
⇒共働きが当たり前の世の中になり、昭和的価値観のままでは結婚すら難しい。
変化2:デジタルツールを使いこなすことはもはや当たり前に
新型コロナウィルス対策で加速した感があるが、デジタルでできることはどんどんデジタルに置き換わっていく。
- リアルでの人的接点を重要視
⇒(コロナ対策もあるが)すべてオンラインで完結でもOK。 - 難しい作業を時間をかけて行うのが美徳
⇒仕事をより簡単に、楽に。完璧でなくてもいい、スピード重視。 - 理不尽なルールでも過去の慣例は踏襲
⇒必要のないルールは廃止
変化3:お金に対する考え方の変化
- 年功序列で我慢すれば段々と昇給する
⇒実力次第で若くても多額の報酬を得ることが可能に。FIREだってあり。 - 会社からの収入がすべて
⇒各人のペースで投資をすることが当たり前に。 - 年相応の消費をすべき(結婚、クルマ、不動産など)
⇒必要のない消費はしない。逆に必要であれば若くても高額な不動産購入だってアリ。個人の価値観を押し付けず、多様な価値観を認め合う。
ドラクエを知らない世代が台頭するのは意外と早いはず
いずれ新型コロナウィルスの感染は収束していくだろう。
この数年間、コロナ対策を理由に高校や大学で本来のカリキュラムを受講できなかった若者世代。彼らが社会に出て組織の意思決定者となったとき、何を思い、どのような社会を作っていくのだろうか。
年功序列が崩壊することが確定している以上、ドラクエを知らない世代が台頭するのは想像以上に早いはずだ。